こてっちゃんの旅(1)

餘部鉄橋


 山陰本線の鎧(よろい)・餘部(あまるべ)間に架かる餘部鉄橋については、改めて説明することもないでしょう。と言いながら、詳しいことは私もよく知りません。歴史とか、エピソードは山ほどあるようです。数年前に回送列車の客車が強風に煽られて落下し、真下のカニ加工工場の方が亡くなられたことも、まだ記憶に残っています。
 特にその事故以来、強風のたびに列車が止まるので、定時運行に支障をきたすようになり、また鉄橋自体の老朽化ということもあり、2006年から鉄橋の架け替え工事が始まります。5年後に完成とのことです。
 ということは、あと5年間はこの鉄橋は現役ということですが、工事が始まるまでにどうしても鉄橋を列車で渡ってみたいと思い、列車に飛び乗りました。餘部鉄橋自体は何度か車で訪れており、下から見上げたことはあるのですが、列車で鉄橋を渡ったことがなかったのでした。

 加古川線本黒田発のワンマンカーに飛び乗り、各駅停車の旅のスタートです。谷川で福知山行きに乗り換え、福知山で豊岡行きに乗り換え、豊岡で浜坂行きに乗り換え、餘部に向かいます。
 城崎以北は、さすがに乗客も少なくなり、ローカル線の旅を満喫していると、浜坂駅でドドーッとお客さんが乗り込んできました。週末は観光客が押し寄せているとは聞いていたものの、ちょっとびっくりでした。
 鎧駅を過ぎ、トンネルをいくつか通ると、いきなり眼下に視界が広がります。と言いたいところですが、時間にして20秒ほどでしょうか。カメラのレンズをのぞいているうちに、餘部駅に到着です。あっけない初渡りでした。

 浜坂から乗ったお客さんも餘部で下車。まるでラッシュアワーのようです。どうやら旅行社のツァーで、30分ほど観光して、浜坂から回送されてきた観光バスに乗って、帰って行かれました。「わざわざ鉄橋を渡りに来る、物好きな観光客がいるものだなぁ」と、自分のことを棚に上げて感心していた次第です。

 鉄橋の由来とか、いろんな説明看板があちこちにあります。ここに載せてしまうと、価値がありませんので、敢えて載せるのはやめました。ぜひ現地で見てください。

 あっという間に渡ってしまう鉄橋ですが、やはり近くで見ると圧倒されます。離れて見ても圧倒されますが・・・。

 鉄橋の下に観光バスが2台。次に上り列車が来るのは約2時間後ということで、ツァーのお客さんはそそくさとバスで帰られました。近くの酒屋さんで、缶ビールとおつまみを買って、こんなにきれいな海岸の景色を見ながら腹ごしらえをし、駅までの坂を上り、2時間後の列車に乗り、もう一度鉄橋を渡って帰ってきました。やはり鉄橋は、あっという間でした。


 餘部鉄橋の建設には、当時強制連行された朝鮮人も多く駆り出されました。餘部に行くまでに、たくさんのトンネルを通りましたが、それらのトンネルの建設工事にもたくさんの朝鮮人が駆り出されています。たくさん説明の看板などがあるのですが、これらのことは一切書いてありません。


おまけの話・・・

 帰りは餘部から普通列車に乗り、城崎で福知山行きに乗り換えました。和田山あたりからにわか雨。福知山の一つ手前の上川口で、対向列車が5分ほど遅れました。ちょっと嫌な予感。
 福知山駅に着いて分かったのですが、市島駅あたりに落雷があり、信号故障で黒井−福知山間が不通になっているとか。代行バスで黒井まで行き、黒井から普通列車に乗って、谷川乗り換えで帰ってきました。
 ところが、谷川駅の加古川線ホームに屋根がない!そういう時に限って、バケツをひっくり返したような土砂降り。たった10メートルほど走る間に、びしょ濡れになってしまいました。


2009年5月の工事のようす

2016年11月のようす

ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。